患者数
国内に10 例程度。大半が30-40歳代だが、幼児例も存在する。
概 要
慢性反復性の炎症と進行性のやせ・消耗を特徴とする、特異な遺伝性自己炎症疾患であり、1939年の中條、1950年の西村の報告以来、和歌山・泉南を中心とした関西と関東・東北から、これまでに40例近い報告がある。幼小児期に凍瘡様皮疹にて発症し、結節性紅斑様皮疹や周期性発熱を繰り返しながら、次第に長く節くれ立った指、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮が進行する。本邦特有とされたが、2010 年に欧米・中東から報告されたJMP症候群・CANDLE 症候群と臨床的に酷似し、2010年から2011年にかけて報告された遺伝子変異の発見により、いずれもプロテアソーム機能不全症であることが明らかとなった。
原因の解明
免疫プロテアソームのb5i サブユニットをコードするPSMB8 遺伝子のG201Vホモ変異による。この変異によってプロテアソーム複合体による細胞内蛋白質分解機能が低下し、細胞内にユビキチン化・酸化蛋白質が蓄積する結果、炎症や組織変性が起こると考えられる。検索し得た本邦患者全てに同じ変異を認め、強い創始者効果を伴った。なおJMP 症候群のすべてとCANDLE 症候群の多くの症例にPSMB8 遺伝子のT75Mホモ変異が見出された一方、CANDLE 症候群では2症例にT75Mへテロ変異、ユダヤ人の1症例にC135Xホモ変異を認め、変異のない症例も1例あった。
主な症状
幼小児期に手足の凍瘡様皮疹にて発症し、その後結節性紅斑様皮疹が全身に出没したり、周期性発熱や筋炎症状を繰り返すようになる。早期より大脳基底核の石灰化を伴うが、成長発達障害ははっきりしない。次第に特徴的な長く節くれ立った指と、顔面と上肢を主体とする部分的脂肪筋肉萎縮、やせが進行し、手指や肘関節の屈曲拘縮を来す場合がある。LDH、CPK、CRP やAA アミロイドが高値で、抗核抗体が陽性になることがある。一方ステロイド内服により逆に腹部や下半身の肥満を来す場合もある。脂質代謝異常ははっきりしないが、恐らく呼吸障害や心機能低下のために早世する症例が多い。
主な合併症
手指や肘関節の屈曲拘縮、やせ、筋力低下、肺・心臓・肝臓機能低下など。
主な治療法
標準的治療法はない。ステロイド内服が行われ、発熱、皮疹などの炎症の軽減には有効だが、萎縮や痩せには無効である。むしろ長期内服による成長障害、代償性肥満、緑内障、骨粗鬆症など弊害も多い。
研究班
「自己炎症疾患とその類縁疾患に対する新規診療基盤の確立」研究班
