概要・特徴:

 コレステロール生合成経路に関わるメバロン酸キナーゼ(MK)の活性低下により発症する周期性発熱症候群である。典型例は乳児期早期より発症し、繰り返す発熱に皮疹、腹部症状、関節症状を伴う。最重症型はメバロン酸尿症と呼ばれ、先天奇形や重度の精神発達遅滞などの神経学的症状を伴う。炎症が惹起される詳細なメカニズムは不明であるが、メバロン酸経路の下流の代謝産物であるゲラニルゲラニルピロリン酸の短期的不足が患者の末梢血単核球におけるIL-1bの分泌を亢進させることが判明しており、IL-1bが本疾患の病態に関与していると考えられている。血清IgDが高値である例が多い事が疾患名の由来であるが、本邦での症例では初診時にIgDの上昇を認めない事が多く、診断には注意を要する。

HIDS/MKDの診断フローチャート

HIDS/MKDの治療

基本治療非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)
発熱、疼痛の緩和に一定の効果が期待されるが、発作の予防、病態の改善にはつながらない。

発作時間欠的ステロイド投与 (PSL : 0.5-1mg/kg/day) 
重症例を除くと、発作期間中のステロイド内服により発作時症状が抑えられると報告されている。
追加治療スタチン (シンバスタチン : 0.5-2mg/kg/day)
そのメバロン酸産生抑制効果により発作の予防、症状緩和に有効とされる。しかし症例によってはかえってゲラニルゲラニルピロリン酸欠乏を促進し、症状を悪化させるとの報告もある。使用前に両者を判断することはできない。

ステロイド持続投与
炎症が遷延する重症例に用いる。長期投与に伴う合併症に留意する。

生物学的製剤
anakinra, canakinumab, etanerceptの有効性が報告されているが、本邦では現時点で保険適応が承認されていない。

造血幹細胞移植
最重症型のメバロン酸尿症で有効との報告がある。
留意治療症例ごとに重症度の幅が広いため、臨床症状、治療反応を考慮して重症度を判定し、重症度に応じた薬物治療を開始する。患者の成長障害、臓器障害の改善、発作時のQOLが保たれることを目標に治療薬を調整する。