ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシス

【疾患概念】

本症は,NOD2遺伝子の変異により常染色体優性遺伝形式にて発症する全身性肉芽腫性疾患である。多くはNOD2遺伝子の exon 3(NOD領域)に変異を認め,in vitro において NF-κB の自発的な転写亢進を導く機能亢進変異である。優性遺伝であるものの家族歴のない弧発例も認められる。皮膚症状・関節症状・眼症状を3主徴とするが, 多くの場合症状はこの順に出現し, 3主徴全てが出揃うには時間がかかる。罹患部位の組織学的検査では肉芽腫(非乾酪性,類上皮細胞性)を認める。

1)皮膚症状

  • 初発症状となることが多い。ステロイド外用に対する反応性は乏しい。
    ときに数ヶ月の単位で自然寛解と増悪を繰り返す。
  • 充実性の丘疹。痒みなどの自覚症状は殆ど無い。ときに潮紅し,あるいは乾燥する。
  • 結節性紅斑。

2) 関節症状

・四肢末梢関節に好発する無痛性関節炎であり,特に手背と足背の嚢腫状の腫脹,手指足趾のソーセージ様腫脹が特徴である。

・早期には他動による関節可動域は制限されず,単純X線検査で骨破壊を認めない。

・進行に伴い手指足趾PIP関節の屈曲拘縮を特徴とする関節変形を来す。

・炎症の主座は腱鞘滑膜である。

3) 眼症状

  • 進行すると失明にいたる。他の臨床症状に遅れて出現する。
  • ブドウ膜炎。
  • 虹彩後癒着・結膜炎・網膜炎・視神経萎縮など, 病変は全眼球性に及ぶ。

ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシスの診断フローチャート

下記の3主徴の1つ以上を認める症例に対し、参考項目をふまえて診断を行う。

【3主徴】  

 1)皮膚症状

 2)関節症状

 3)眼症状

【参考項目】

成人のサルコイドーシスに特徴的な両側肺門部リンパ節主徴は原則として認めない。但し, 肺病変の存在を否定するものではない。

  • 多くの症例では,4歳以前に何らかの臨床症状が認められる。
    BCG接種が臨床症状出現の契機となることがある。
  • 高熱や弛張熱を認めることがある。
  • 眼症状の出現までには時間がかかることから、3主徴が揃うまで漫然と経過をみるべきではない。視力予後の改善のためには、皮膚症状(家族歴を認める場合)・関節症状(家族歴を認めない場合)が出現した段階で,組織診断(組織学的診断例)あるいは遺伝子診断(確定例)を考慮することが望ましい。
  1. 疾患関連変異とは、疾患関連性が確定された変異を言う。疾患関連変異なしには、変異があっても疾患との関連が証明されていないものや、変異がないものを含む。疾患関連性の判断に関しては、専門家に相談する。
  2. 組織的診断例は,3主徴が揃うかを経過観察する。
  3. 組織学的診断例および疑い例において遺伝子検査未施行例は,遺伝子検査を考慮する。

ブラウ症候群/若年発症サルコイドーシスの治療

基本治療確立した治療法は現時点ではなく,治療は症例ごとに対症的に行われているのが現状である。
非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)
発熱、疼痛の緩和に一定の効果が期待されるが、病態の改善にはつながらない。
ステロイド内服 
弛張熱や眼病変を認める症例に用いられる。眼病変の急激な進行時において大量投与が行われる場合もある。継続投与は副作用の観点から勧められていない。
追加治療メソトレキセート(10~15 mg/m2/week)
炎症の軽減に一定の効果があると報告されている。

生物学的製剤
adalimumabやinfliximabにおいて症状の寛解が得られたとの報告が認められている。

サリドマイド(初期投与2 mg/kg/day 症状に応じて増量)
発熱や眼病変に対する有効性が症例報告レベルで認められている。

治療の指標

関節エコーを用いた炎症の評価が,有効である可能性がある。